酒癖悪美の酒の失態集

インドで3年働いた体験を盛大に盛りながら綴ります。

(8)チャイニーズマフィアとジャパニーズ売春婦

このブログの本来の目的は私の酒の失態を綴る事だと思い出した。

今回は親や旦那が読んだら悲しむ内容になるだろう。

 

(7)欲望のダムが崩壊し、翌日私は校長に辞表を提出した。

理由は至ってシンプル、「ボスに求愛されている環境で就業を続けて行くことは困難。私にその気はありません。」

 

ボスは神妙な面持ちで辞表を受け取り、来週面談をしようと言い残し部屋を出ていった。

 

ついに解放までのカウントダウンが始まるが、実際はここからが長く険しい道となる。そんな事とは露知らず今週の私は有頂天だった。

 

今週、友人Sが日本から遊びに来るビッグイベントを控えていた。

最近同年代の友人Nもでき(彼女については後日説明する)

3人で注目のクラブへ行くことが決まっていた。

 

心底女の浮気以来、社宅の門限はあって無いようなものになっており

その日も外出届を提出したものの、21時までに帰宅する気などさらさら無かった。

 

女3人でインドのクラブで酒を飲み、隣の席のターバンを巻いたインド人にくだらない手品を見せられ

 

酒を奢られ、阿呆の顔して上げた歓声が音楽に掻き消される状況を恍惚とした表情で受け入れていた。

 

先に言い訳しておくと、その日自分の周りで繰り広げられる出来事全てが、本当に久し振りで尊いものだったのだ。

 

そんな浮ついた心を感じ取ったのか、本来であれば「すみません、ちょっと・・・」と拒絶したくなる顔面をした30代の中国人2人組が声をかけて来た。

 

小さくて目が飛び出た色黒の中国人と、背が高く色白のメガネをかけた中国人だ。 

 

中国で貿易会社に勤めていて、今回インドのパートナー選定のため

視察出張に来ているという。

 

背が高く色白のメガネをかけた中国人と意気投合して、3杯ほどテキーラを奢ってもらった。

 

次の記憶で、どうやら私はトイレの前で中国人とディープキスをしている。

 

友人2人は帰ろうとしているのだが、私は中国人と携帯番号を交換している。

 

見かねた友人は私を外に引きずり出し、車に詰め込んだ。

その時に私は野良犬を撫で回している。インドの野良犬の3割は狂犬病らしい。

 

つくずく節操が無い女なのだ。

 

Nに家に送ってもらったのだが、0時を回っていた。

Sと社宅に入り、明日の旅行に向けて消灯したのだが、

「ヴー、ヴー、ヴー」中国人からのメールが来ているのに気づいた。

それも2、3件なんて生易しいものではなく、20件くらい来ていたのだ。

 

どうやら酔っ払った私は、「〇〇駅のすぐ近くに住んでいる。〇〇という店のすぐ裏」と簡単に住所を特定できる情報を教えてしまっていたのだ。

 

「今どこ?」「家の近くにいる」「家が分かったよ。到着した。」「会いたい」「外に出て来て」「話すだけでいいから」「顔を見たらすぐに帰るから」という内容だった。

 

今ならば、「顔を見たらすぐに帰るから」など、「先っぽだけ入れていい?」と同格の空事だとわかるのだが

 

あの時は、長らく社交界から遠のいていたせいか

 

「こんな遠くまで来させてしまった。申し訳ないから、顔だけ見せて帰ってもらおう。」

 

という結論に至ってしまった。

 

社宅と言っても3階建の民家なのだが

他にも10軒程の民家が行き止まりの私道周辺を取り囲む様に建ち並んでいて

私道の入り口には大きな門と痩せこけた門番と犬が立っていた。

それが一つのソサエティーだった。

 

そしてその門の外に中国人が待っていた。

 

門の中から「来てくれてありがとう!今日は楽しかった!じゃあ、また。」と声をかけた。

中国人は何かのプレイだと勘違いしただろうが、当時の私は純粋にそれだけで帰ってくれると信じ切っていた。

 

中国語で多分ものすごく汚い言葉で喚き始めた。

 

痩せこけた門番はヒンディー語で私に何か問いかけているのだが

私は怖くなってそのまま社宅に逃げ込んだ。

 

翌朝、友人と旅行へ行く準備をしてると

激昂した校長から「昨晩何があった」と電話がかかって来た。

 

どうやら、昨晩中国人は賄賂を渡して門を突破し

私の社宅のチャイムを鳴らしたらしい。

 

私の社宅は1階と2階に大家とその子供が住んでいるのだが

夜中の1時に鳴らしまくったチャイムは、大家の方だった。

 

飛び起きた大家は、怒り狂った中国人にこう言われたそうだ

「お前のところの日本人売春婦に金を払った!まだサービスを受けていない!」

と。

 

(金をもらった記憶はない。テキーラは飲んだが、厚かましいやつだ)

 

大家は「ここに売春婦など住まわせていない。警察を呼ぶぞ!帰れ!!」と激怒する。

 

中国人は大声を上げて喚き散らしたため、1階に住む住人の何人かが起きて状況を確認しにきた。

 

インド人複数名に取り囲まれ、中国人はようやく状況を理解して逃げ帰ったそうだ。

 

日が昇るのを待って、大家はその一部始終を社長に報告したのだ。

 

今回の件は全て私が悪い。心底反省し、己の弱さと酒の招いた失態を悔やんだ。

 

翌日ソサエティーで緊急集会が開かれた。

議題は「この閑静なソサエティーで日本人が治安を脅かしている」という内容だ。

 

話は大きく膨れ上がり、私がチャイニーズマフィアの手引きをしていると主張する夫人も現れた。

 

閑静なソサエティーは一晩で中世ヨーロッパの魔女狩りへと様変わりした。

 

インドの治安が悪いという話はよく聞くが、日本人がインドの治安を悪化させているという話は初耳だった。私が悪いのだが。

 

私の前任者、淫乱教師もベランダで青姦して喘ぎ声が大きすぎて住民が外に確認しにくる騒ぎを起こしてる。

そしてその後任がジャパニーズ売春婦ときたら、それは日本人に対して最悪の印象を持つだろう。

 

一刻も早くインドから立ち去りたかった。